弁理士うめざわブログ

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どうしてダメな社外弁理士を使うのか?1

企業サイドにとって取引先の選定はそれなりにセンシティブな問題だったりします。
雇用契約を結んでいるわけではないので、解雇のような厳格さはないにしても、
長期的な関係を結んでいる取引先を安易に変更するというのは
知財関係のみならず、部品の供給業者も含め、あまり好ましくないと思われます。

取引関係の設定・変更で一昔前にありがちだったのは癒着関係です。
一担当者からすれば、会社の利益よりまず先に自分の利益ですからね。
今でもインモラルな会社だとキックバックは普通に発生しているでしょう。
大昔のように飲み食いさせてもらうのがありがたい時代ではとっくに
なくなっていますが、単価の大きい仕事である以上見返りを求める慣習は
0に近くはなっていますが、完全になくなったわけでもないでしょう。

そういうのはけしからんというコンプライアンス関係が浸透してから
だいぶ久しいと思われ、取引先の奢りで飲み食いもいかがなものか、
というのが最近のご時勢だと思います。まあそれくらいは特許事務所も
経費の範疇だし、情報交換するのはお互いに有益なはずですが、それはそれです。

というわけなので、取引先の選定や変更にあたっては、
なぜその業者にしたのかという理由付けが非常に重要になります。
「あいつはダチでいい奴だからさー」なんてのは通らないかなあと思います。

じゃあ安ければいいかというと、確かに安いというのは有力な要素になりますが、
多分この仕事は安さが最重要要素ではないと思うんですね。
新たな取引先に変更する決定的な要素があって、
そして価格が後押しになると思うんです。

「既存のA社よりB社の方がいい仕事をする」ってのを
権限を持っている人にどう説得したら良いのでしょうか。
ちょっと良いだけじゃだめです。取引関係を変更する動機を与えるに
足るほどの決定的な優劣がないとダメです。
まあ新規性と進歩性みたいなもんでしょうか。

特許業界の人は品質を絶対視する割には、
その品質を客観的に語ることが出来ないんですよね。
文章が分かりやすい分かりにくいといってもその意義を人に伝えるのは困難です。
権利範囲の広さでさえ、その広さに起因する都合不都合を伝えないと
その意義を理解されないでしょう。
現場担当者の感覚の範囲内でしか理解されないことは
多分変更要因にはならないと思います。

長期の取引関係があるなら、その既存の取引関係に基づく信頼感があることは
容易に理解されるでしょう。それを越える何かを伝えないといけないわけです。

発注先の担当者にそれを乗り越える負担を与えるのだから、
その負担に応えるだけの決定的な何かを提供しないとダメです。
価格が高い安いなんて、自分で払うお金じゃないですからね。

その担当者の人がそれを乗り越えようとしてくれないわけだから、
「いやあお付き合いしたいんですけどねえ」と社交辞令を述べてくれても、
それは多分本気ではないんです。「所詮面倒」の壁を乗り越えるほどの
メリットを感じさせていないのでしょう。

一般社会の「営業」と言われる人は、こういう壁を乗り越えているんでしょう。
特許業界でも営業のうまい人は攻め方が独特ですよね。私は真似できません。
まあ自分も頑張らんといかんなあと思います。
文章長くなってしまったので、具体的な話は2で。

どうしてダメな社外弁理士を使うのか?まとめ