弁理士うめざわブログ

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弁理士試験の出題内容は実務から本当に乖離しているのか?

弁理士試験の試験内容は実務内容に即していない、という批判が
なされるようになってから久しいです。
実務内容というのは、要するに明細書書いたり中間処理やったりと、
そういう内容のことを想定した話となっているようです。
確かに弁理士試験はそういう知識を問う試験にはなっていませんが、
それをもって実務から乖離していると言うことになるのでしょうか。

私自身も、まあそうだなあと漠然と同意していましたし、
あまり反対しづらい意見ではありますね。
ただ、最近ちょっと違う意見を持つようになりつつあります。

弁理士資格とはそもそもなんでしょう。独立開業のための資格です。
したがって、開業弁理士にとって要求される知識を問う試験になっています。
そう考えたとき、明細書作成能力とか意見書補正書作成と言うのは
弁理士業務の一部ではありますが、これ多分勤務弁理士にとって
必要な知識・経験なのではないでしょうか。

独立ということになって他士業の人と接するようになると、
弁理士公認会計士の、独立志向のなさは際立っていることが感じられます。
司法書士とか社労士とか、資格取ったんだから独立するというのが前提です。
公認会計士は制度上サラリーマン化せざるを得なくなりつつある
という側面はありますが、弁理士は特に制約はないですよね。
「勤務弁理士にとって不要な知識」とかなってしまうと、
じゃあ弁理士資格なんて取るなよって話になってもおかしくないはずです。

さてじゃあ独立した私に問われた知識にはどんなものがあるのか書いてみます。

商標では、
・マドプロ暫定拒絶通報への対応
・これに伴う商標管理人に関する手続
・マドプロ国際登録出願の、出願人適格
・商品商標と役務商標の効力の重複について

意匠では、
・意匠登録出願の必要書類
・創作非容易性(審査基準の内容)

まだ数ヶ月しかたってないのにこんな感じです。
開業弁理士に問われる知識と言うのはこんな感じなのかなあと。
まあ自分の場合は偏っているだけなのかもしれませんが。

案外弁理士試験は実務の現状を踏まえた出題をしてるのかなと
最近思うようになりました。少なくとも勤務弁理士に問われる知識とは
異なっており、知識があるうちに独立する方が良いのかなと。
これが売り上げになるかは今後の課題ではありますが。