弁理士うめざわブログ

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口述試験対策でよく見られる誤解

弁理士試験、口述試験対策でよく見られる誤解として、
どんなに難しい問題、どんなに厳しい試験官に当たっても、
それを乗り越えられるほどの十分な準備がなされていれば、
受かることができる、というものがあります。

口述試験の特異性というのは、同一テーマについて
同一試験官に当たる(つまり同一のレーンの)
人間の数が非常に限られており、
そして、同じレーンであっても試験官の裁量で
出す問題を変えられてしまったりします。

とにかくいい加減でお粗末な試験です。
そのときの試験委員が適切に出題をしない場合、
それだけの理由でその科目は突破することができません。
短答試験、論文試験と違い、相対評価の要素が低く、
その場所その状況に固有の事故に巻き込まれたら終わり
という点が決定的に異なります。
昔は特定のレーンのみ全滅なんてことすらあったようです。

口述試験の「非常に難しかった」というのは、
こういう非常に訳ありの局面だった、ということです。
そういうのは再現性が低く、事前準備もできません。
筆記試験は全員同じ条件ですから、何かおかしいもの
があっても、そこの部分は受験生全員で相対化されますが、
口述試験では相対化されない点が異なります。

何が言いたいかというと、語り継がれるいわゆる「難問」
というのは、この時期果たしてやるべきか疑問です。
そういうのは乗り越えてもらうために出したというより、
出題者側の底意地の悪さが原因の出題のように思え、
それが周知されてしまってからは、再度の出題がありません。

意匠法の26条暗唱とか、特許の再審とか、
知ったら仕舞いでそれ以降改めて出てこないですよね。
予測可能性が低いことを狙った悪質な出題なんですよ。

口述自主ゼミではそういうのも含めて1年間必死で覚えたり
しますが、いわゆる難レーンではそういうのを
あざ笑うような問題をまた狙ってくるわけです。
そんなのやっても仕方ありません。

まあ基本的には今の時期には過去問の典型問題だけ
潰していればいいのかなという気がします。
9割方は基本問題が出てきますので、それができないと
さすがに合格にはしてもらえません。
それをきちんとできるようにするのが今の時期の勉強です。
それ以上の部分は、さすがに運なのではないかと。