弁理士うめざわブログ

特許事務所の弁理士による、特許事務所業界ブログ

10年後20年後の弁理士業は厳しいのではないか

現在の弁理士業界については景気がいいのか悪いのか、
人と会うことがめっきり減っているのでいまいちわからないものの、
とりあえず食えているような感じは受けるのですが、
これからはどうなってくのかなということを考えてみました。
10年後、20年後というスパンの話です。

なんでこういうことを考えたかというと、今少子高齢化
その結果として人口減少が進んできています。
将来的な産業構造はどうなっていくのか。

人口が減少していくとお先真っ暗化というと
そんなことないと思うんですよね。
単にスケールが小さくなるだけで、需要は減るけど
競合も減ります。豊かさは1人当たりの経済力なので、
1人当たりの生産力が減らなければ、
個人個人が貧しくなることもなかろうと思います。

人口が半分で需要も半分なら供給も半分、という業界は
多分人口が減少してもそんなに変わりません。

一方、スケールに依存する産業は厳しいと思うのですよね。
例えばテレビ産業とか、娯楽関係、メディア系、
その他国内需要のスケールに依存する産業は、
スケールが小さくなればその分実入りも減ります。
これに該当する産業は細っていく感はあります。

つまり、スケールに単純比例ではなく、
もっと乗数効果がかかっていて、例えばGDPが1.5倍なら
出願件数は2倍、GDPが2/3なら半分くらいに
傾斜がかかっている感じの商売は厳しいですよね。

ということを考えたとき、弁理士業ってのは
結構厳しいと思うのです。
国内特許を取得するコストは、GDPが2倍でも半分でも同じです。
売り上げのスケールに依存して特許を取るかどうかが決まります。
売り上げが損益分岐点を下回れば特許を取らない、
という判断になるでしょう。

例えば逆に中国なんかはGDPがぐんぐん伸びてきたので、
中国で特許を取ろうという判断が、昔はなかったところ、
今では中国を主要国として判断していますよね。
知財ってのはスケール依存産業なのです。

あともう1つ、弁理士の年齢分布が、30代後半から50代前半
あたりにかなり偏っているのですよね。
人口分布で言うと70前後に大きな山があるはずで、
しかも士業は70歳くらいでもやっているような仕事のはずです。
何が言いたいかというとはけていく人数が少ない。
仕事の供給は減っていく割に、シェアしていく人数は変わりません。

ほかの業種はどうかというと、司法書士とか税理士の場合、
人口が半分なら会社の数も半分で、
司法書士、税理士の数も半分になればつり合いが取れます。
また、人口分布通りに70前後に大きな山があります。
つまり、高齢者世代がきちんとはけていきますので、
業界の景気的には今とそこまで変わらないのではないか、
ということを予測しています。

暗い予測をしてしまいましたが、長いスパンの話であり、
来年再来年こうなるという話ではありません。
我々はこれから業界の椅子取りゲームで生き残らなければ
ならないという予測になります。

人口減少自体はもう確定事項で、よほど移民を取るとか
しなければ覆ることはありません。
ただ、この人口が減少する未来においてどう世の中が
変化していくのかについて、あまりこれといった予測が
見つからないので、自分なりに予測してみることにしました。