弁理士、独立開業したらどうなった?
昨日は委員会の会合に参加して、そのあと懇親会となりました。
委員会の性質なのか、独立開業されている方が大半を占め、
その中でもあるテーブルでは開業3年以内の弁理士が4人集まっている
ことが分かり、そういう話題で盛り上がりました。
開業している人の話を聞く機会というのは必ずしも
多くはなく、自分がやってみたらどうなのかということは
なかなか判断がしづらい部分があり、結局のところ
やってみなければ分からないというのが実際のところです。
しかしやってみる前にどんな感じなのかを知っておきたいというのが
本音のところでしょう。やっぱり失敗したくないですからね。
そしてもちろん情報だからバイアスというものがかかり、
うまくいっている人はうまくいっている話をしますが、
うまくいっていない人は、うまくいっていなさ加減を
ことさら大きく話したりしません。
人間、自慢は遠慮なくしますが、自分の至らなさを話すのには
抵抗があります。その結果、開業してうまくいった話ばかりが
ネットでは充満します。
私はそういう思いから、できるだけバイアスのかからない情報を
多く集めるようにしたところ、「厳しいね」という話は
やはりそれなりに多かったですし、昨日の飲み会もそんな話が出ました。
まあまったく食えないかというとそんなことはないかなと思いますが、
勤めとどっちがいいかというと、勤めてた方がいいんじゃない?
という意見の方が、開業弁理士からは多く聞かれます。
自分の場合はというと、何が何でも独立開業というより、
消去法的に開業を選択することになったこと、そしてこれをやるのは
この年齢でないともうこれが最後かな、という前向きではない理由です。
半年だからこんなもんかな、とは思いますが、
いろいろとしんどい部分も出てきました。
弁理士の良いところは、開業して失敗しても勤務弁理士に戻るのが
そこまでハードル高くないことです。そういう話はいくつも聞きます。
そんな中から、独立してみてどうだったかという話はちらほら聞いたりします。
会社を辞める理由が千差万別であるのと同様に、独立はもういい、
という理由も、結構人によりけりというのが実情です。
特許事務所によっても、待遇も自由度も高い職場があったりするので、
そういうとこだと、独立開業するメリットが、
勤めててもそのままあったりするんですね。
収入についても、勤めてたほうが良かったねという人は何人もいます。
前にもどこかの記事で書きましたが、この業界は先行者利益が大きい業界です。
基本的には不満がないと代理人を変えないからです。
恵まれていた時代に開業した人が何より圧倒的に有利です。
遠い昔に開業した人が目もむけなかった仕事があって、それを後発の人が拾い、
その後発の人はさらに残りを拾い、あとどれだけ残っているか?という状況です。
手つかずだったマーケットがどんどん開拓され、今は何が残っている?という状況です。
後から見ればあの市場が残っていたね、という話が出るんでしょうが、
昔に比べると営業センスがないと生き残る困難さは増しているように思えます。
集めた情報を単純に整理した感じだと、2009年開業までは、大体の人は
それなりに何とかなった感じで、2011年開業までは人によりけり、
2012年開業以降は苦戦している人が多い印象です。
開業しないで勤務弁理士を目指すのもよいのですが、それって企業に勤務するのと
何が違うのってことですよね。「弁理士の魅力」という話をしたとき、
それがどうも具体的ではないと思うのです。自分は企業で順調に働けているなら、
そっちのほうが良いのではと思っています。基本的には挫折した人間が目指す世界です。
なので、最近の風潮には違和感を覚えます。
ネットで情報を垂れ流している人間が言うのも何ですが、
情報をどう判断するか?ということです。
ネットでは出てこない情報って結構あると思うんですね。
その割には人の集まるところに出てこない人の方が実際は多く、
少ない情報で軽率な判断を下す人って多いなあと思うことは時々あります。