弁理士うめざわブログ

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知的財産の価値評価について

知的財産の価値評価というのが弁理士業界では
それなりの話題になってきています。
弁理士会の委員会なんかも設置されて、どのように処理するかを
検討したりというのを一応進めているようです。

なんらかの評価基準があるとしたらそれは素晴らしいことだし、
ぜひ自分も取り入れなければと思い、研修なども参加して
みましたが、評価基準としては特に知財特有のものではない、
一般的な非財務指標的な基準であまり実用性に乏しいな、と思い、
実際あれってどうなのよと知り合いに聞いたところ、
まだまだ進んでないみたいよという答えを得て、
なあんだと思い、しばらく関心を失っていました。

けどですね、現実にはそれなりに需要は出てきているようです。
自分みたいなところにさえ、知財の価値評価についての
お問い合わせがちょくちょく入ってきたりするのです。
需要はある、けど方法論は確立していない、という状況で
どうなるかというと、ある程度恣意的になるのは避けられません。
不動産鑑定士さんと話をしていると、やっぱり自分の
都合に合わせた評価を出したいからそういう専門家の
仕事が発生するのだ、ということなのですが、評価手法が
それなりに発達していて、そこの部分の説得力が
必要な感じになってるような印象を受けました。

ある他士業の方に言わせると、特許は売買されないから
評価が決まらないのだ、という話が出てきて、それはもっともだな
と思います。流通性、流動性が高いからこそ評価が相対化されて
価値評価が定まってくるというのはその通りでして、
特許のように非常に流通性が乏しいと、評価も難しいです。

金利にますます拍車がかかるこのご時世、融資されない資金を
どのように融資させるかということで、経産省としては、
非財務情報をどう評価して融資に結び付けさせるか、
特に知的財産の評価というものを重視してきている、
という話を小耳にはさみました。
ただ、評価の対象となるのは通常は設定登録後の特許ですよね、
権利化段階が比重を占める弁理士にとってみると、
接点がありそうで薄いという実情もあり、
じゃあ専門家は誰だとなると弁理士にならざるを得ない昨今、
なんでもいいから噛んでおくということも必要か
と思うのですが、なかなかとっかかりが分からないですね。