構造不況業種としての特許事務所
現在特許事務所は景気が良いでしょうか?という問いに対して、
大体帰ってくるのは、とりあえず今は忙しいという回答です。
ただ、一昔ほどは忙しいという話は聞かなくなりました。
弁理士業務、特許事務所業務と一言で言っても、取扱業務によって
その景気の度合い、将来性についてはかなり振れ幅があります。
言うまでもないことですが、10年以上前に存在していたような、
業界にとって夢のようだった時代というのはこれからは永遠に来ません。
そういう話題は本ブログの過去記事にいくらでもあります。
それを踏まえた上で、これからの特許業界の未来はどうなるのかについて語ります。
一番厳しいのが商標業務です。これは言うまでもないですね。
セールスマンとしての能力が高いような方でしたら
もちろんやっていける可能性は高いですが、
それは単に同業他社の飯の種を奪っているだけのことです。
同業を全て葬り去ってやるくらいの気迫のある方にとっては
やりがいのある業界だと思います。
実際に商標業界で今目立っている方々はそんな方たちです。
特許については、まだまだ忙しく、仕事は十分にはあるのかな、
という感じは受けます。ただ全般的に特許出願件数は減っていますよね。
景気が良い間は特許出願件数は確保されるでしょう。
知財は、特に余剰資金をとりあえず突っ込んでおくには
ちょうど良い支出項目であるとは言えます。
よく大企業なんかで期末の集中出願なんかありますよね。
要するに予算が余ったから特許出願しよう、という性質の話です。
そして実際のところ、日本の特許出願件数の大半は大企業が占めています。
大企業の余剰資金の割当先として、これから、そして当面これからも、
特許出願が選択され続けると思います。
そんな日本企業の将来性は?というのが最大の懸念ですよね。
まあ好景気なのに特許出願件数は増えていないのが証左です。
景気がピークアウトしたらどうなるのか、目も当てられないですね。
あと一番大きいのが、もう10年位前から始まっていますが、
特許の大量出願・大量権利化戦略の見直しです。
大量に特許取っておけば相手に対してけん制力が働くだろう、
という漠然とした戦略の下で行っていた大量権利化が
見直されてきています。
その結果として、特許出願件数が絞り込まれてきました。
もしくは、特許事務所への単価が叩かれています。
数確保できていれば質はどうでもいいだろうという
割り切り型の扱いになっているものも多いです。
後はまあ外国、も似たようなもんですね。
内外の価格引き下げは進んでいますし、かつては言い値に近かった
外内業務もだいぶ価格の要求が厳しくなってきました。
バーターを要求されることも増え、かつで外内で勢力を
誇った特許事務所も苦戦を強いられています。
言えるのは、多少の温度差はあっても、年々状況は厳しくなっており、
どうやっても良くはなっていかないだろうということですね。
ただまあ厳しい厳しい言っている方の大半は、単に甘い汁を
吸ってきた人たちばかりであるというのもまた事実ではあるので、
上層部の連中をまとめてぶっ潰してやるぞ、という
気概のある人たちにとってはまだまだ展望のある業界
ではあると思います。
戦って勝ち上がってやるぞ、という人たちにはお勧めです。